口唇裂・口蓋裂をもつ方の不正咬合では、年齢や咬み合わせの状況に応じて適切な矯正治療を行う必要があります。
粘膜・骨を移植、再生する治療や欠損した歯をインプラントで補填する治療なども受けられるようになりました。
主訴: 前歯部の反対咬合
診断: 右側唇顎口蓋裂術後、前歯部反対咬合、上顎狭窄歯列弓、上顎右側側切歯先天性欠如(7歳)
使用装置: 上顎骨急速拡大装置、リンガルアーチ装置、マルチブラケット装置、プレート装置
動的治療期間: 第1期治療1年3か月、第2期治療開始までの観察期間約5年
費用: 健康保険適応
リスク・副作用:丁寧な歯磨きが必要、可撤式矯正装置の使用協力が必要、一般的な歯科矯正治療に付随するリスク
【治療開始時】7歳8か月
【上顎歯列急速拡大装置】7歳9ヶ月
狭窄した上顎歯列を拡大し、下顎歯列と調和を図ることが必要です。
【上顎マルチブラケット装置(2x4装置)】8歳0ヶ月
リンガルアーチ装置にて拡大した上顎歯列弓の幅径を維持しながら、上顎マルチブラケット装置(2ⅹ4装置)を用いて、さらに上顎歯列を前後的に拡大し、前歯部反対咬合の被蓋改善を行い、さらに排列を行っていきます。
【第1期治療における動的矯正治療終了時】9歳2ヶ月
可撤式のプレート装置を装着して拡大・排列して被蓋改善した上顎歯列弓を維持しながら、永久歯交換を待ちます。
【額裂部に骨移植】9歳7ヶ月に骨の欠損部に移植します。
【経過観察(第2期治療開始前)】12歳5ヶ月
第二大臼歯までの永久歯列が完成し、顎骨成長の終了期を待って、第2期治療を開始します。移植骨部に萌出した上顎犬歯を排列し、欠損した側切歯部に欠損補綴を予定しています。